- 「持ち家と賃貸、結局どっちがいいのかな」
- 「近所の村田さんは持ち家だし、うちもそうしようかな」
- 「賃貸は引っ越しが楽だけど、いつまでも賃貸っていうのもな」
子育て中の共働き世帯にとって、住まいを「購入」するか、「賃貸」するかは、大変大きな選択となります。
「持ち家」と「賃貸」、どちらにもメリット・デメリットあり、それぞれの家庭の事情によって、一概には判断できない問題ではあります。
ですがこの記事を読めば、「住宅を購入しようか?」、「賃貸のままにしようか?」と迷っている、子育て中の共働き世帯が、両者のメリットとデメリットを比較した上で、自分の家族にとって、何がベストなのかを判断できるようになります。
- 「賃貸」>「持ち家」である4つの理由
- 「賃貸」のメリット
- 「持ち家」のデメリット
結論:子育て中の共働き世帯には「賃貸」が最強
子育て中の共働き世帯にはずばり、「賃貸」が「持ち家」よりオススメです。
これは、子育て中の共働き世帯が直面するであろうと考えられる「問題」を考えた際、「賃貸」の方が「持ち家」より対処しやすいからです。
- ①住居近隣の環境問題
- ②子供の教育環境問題
- ③住居の維持・管理問題
- ④社会生活上のリスクへの対処問題
①住居近隣の環境問題【家の購入=環境の購入】
家を購入すると、当然ながら、家のお隣さんや、近場の商業施設、子供が通う学校などと関わり合いを持つことになります。
そして、そういった住居近隣の環境は、皆さんが思う以上に、様々なリスクを抱えています。
1.近隣とのトラブルが発生するリスク
まずありがちなのが、先程出てきたお隣さんとのトラブルです。
子育て中の共働き世帯が近隣とトラブった場合でも、賃貸であれば、引っ越しなどの柔軟な対応が可能です。
「近隣トラブルに関する意識調査」を実施した日本法規情報のデータによると、
近隣トラブルに「巻き込まれたことがある」と回答した人は47%、「巻き込まれたことがない」と回答した人は53%となっています。
〈近隣トラブルに関する意識調査〉
出典:財経新聞
近隣とのトラブルでは、些細なことから大きなトラブルへと発展していくケースも多く、特に子供のいる家庭では騒音問題などへの注意が必要です。
騒音問題の難しさは、感じ方に個人差があることです。
どんなに注意していても、音に過敏な人にとっては騒音に聞こえます。
まして、小さな子供がいる家庭では、子供が一切走り回らないという事は考えにくいです。
子どもに対するしつけにしても、家の中で騒がない・走り回らないと教えることは大事ですが、度を越して神経質になりすぎても、子供の成長に悪影響になりかねません。
ご近所に神経質な方がおられて、どんなに注意を払っても苦情が来るようなら、引っ越しを考える必要もあります。
2.学校関係のトラブルが発生するリスク【いじめ・PTA問題】
子育て中の共働き世帯が直面するであろう、トラブルはまだまだ続きます。
それは皆さんもおなじみの、子供のいじめやPTAでのトラブルです。
子供のいじめ問題は社会問題化しており、いじめを苦にした子供の自殺にまで発展しています。
最近は学校でもいじめに対する様々な対応を行うようになってはいますが、十分とは言えません。
2019年度に全国の小中高校などを対象に、文部科学省がおこなったいじめの実態調査によると、認知されたいじめが61万2496件と過去最多を更新したことが分かりました。
現在、小学生が630万人程ですので、40万/630万でおよそ100人に6人がいじめにあっている計算になります。
<いじめの実態調査>
出典:いじめ認知、最多の61万件 「重大事態」も最多に: 日本経済新聞 (nikkei.com)
いじめの問題は、表面的に解決したかに見えても、実は陰で続いているケースもあります。
この場合はいじめの加害者がいる場所から離れなければ解決は難しいと考えられます。
もし、我が子がいじめに巻き込まれた時、子供の心、更にはいのちを守るために、引っ越しを考える必要も出てくるでしょう。
その際に、持ち家だと売却を考えねばならず、家というのはそう簡単には売れませんから、賃貸ほど引っ越しはスムーズにいきません。
また、同じように、PTAの問題で悩むご家庭も多いようです。
特に子育て中の共働き世帯では、PTA活動に積極的に参加することが時間的に厳しいことから、周りの家庭とトラブルになるケースもあります。
あまりにも揉める場合、自分たちの家庭と価値観が似た家庭が多い地域への引っ越しを、検討する必要がありますが、この場合でも賃貸であれば、引っ越しはスムーズです。
3.近隣住人の価値観と合わないリスク
家を買って見たけれど、近隣住民の価値観と自分の価値観とが、かけ離れているケースもしばしば見られます。
「郷に入れば郷に従え」という諺があるように、住む場所によって、住人の価値観は大きく異なります。
世帯年収が高く、教育熱心な地域では中学受験や塾に通うことは当たり前であっても、場所が変われば、浮いてしまうこともあります。
反対に、子供をのびのび育てたいと考えている方は、教育熱心な地域の中では、居心地の悪さを感じることもあるでしょう。
子育てにおいて何を大切にするかの価値観があまりにかけ離れた環境で、子供を育てるのは、苦労ばかりが先に立ちます。
住む前に、その場所の土地柄などをしっかりリサーチしてから住居を決めるべきですが、住んでみなければ分からないこともあります。
住宅を購入するには、そういったリスクを考慮する必要もあります。
4.住居近隣での環境が変わるリスク
住まいに好ましくない環境変化が近い将来に生じることもあります。
都市開発を含む再開発や発電所・企業誘致など多くの環境変化が今後も考えられます。
住宅を購入した後に、近隣に発電所や好ましくない商業施設が建ったことを想像してみて下さい。
場合によってはその影響で住宅の価値が下がるケースもあり、そうなると売却したくても売却できなくなることもあります。
5.家族のライフイベントに柔軟に対応できないリスク
家族のライフイベントが及ぼす影響も考える必要があります。
「親が急に倒れて介護のため一緒に住むことになった」
「子供がもうひとり増えた」
こういった家族のライフイベントにも賃貸であれば柔軟な対応が可能です。
子育て中の共働き世帯は、子供の数が増える、親が同居することになるなど、家族構成が変わる可能性もあります。
そして家族構成に合わせて、必要な部屋の数や家の広さは変わってきます。
賃貸であれば、急な家族定員の増加や、子供の幼稚園入園、小・中学校入学、高校・大学への進学などライフイベントに柔軟に対応して、都合のよい場所への引っ越しが可能です。
家族のライフイベントは、予測不可能なことが多いので、柔軟な対応が可能な賃貸のメリットは大きいです。
“①住居近隣の環境問題【家の購入=環境の購入】”まとめ
- 家の購入は周辺環境も合わせて購入することになるので、環境が合わない場合は、リスクとなりうる
- 家周辺の環境としては、子供の学校、近隣住民、住居近辺の再開発などがある
- 家族数が増えた場合でも、賃貸ならば柔軟に対処可能
②子供の教育環境問題
我が子にとって不可欠な教育。
子供の教育環境は親にとって外せない問題です。
この子供をめぐる教育のための施設もまた、子育て中の共働き世帯は「賃貸」か「持ち家」かを決めるにあたって、考慮しなければなりません。
ここでは保育園、小学校、塾を例に考えてみます。
保育園の待機児童問題
子育て中の共働き世帯にとり、仕事に行っている間、子供を預けるための保育園の確保は死活問題です。
ですが、全国的に人口の多い地域の保育園の不足は社会問題化しており、特に首都圏は保育園の定員が申し込む開始から1時間以内に定員に達することも珍しくありません。
少しでも保育園の空きが多い地域に引っ越す、子育て中の共働き世帯は昨今、珍しくもありません。その際、賃貸だとスムーズに引っ越しが可能です。
〈全国待機児童マップ(都道府県別)〉
出典:厚生労働省「保育所関連情報の取りまとめ(令和2年4月1日)」
「もう保育園を確保しているから」
「うちの地域は待機児童が0だから関係ない」
そういう世帯の方もいらっしゃるでしょう。
しかし、仮に預かってもらえる保育園が見つかっても、今住んでいる場所から離れているため、送り迎えが大変という話はごまんとあります。
また、お住いの地域が行政による見栄え上の児童待機が0でも、実態は、預けられない人が多くいるのも現実です。
保育園が空いている地域に自分たち引っ越しをせざるを得ないことは十分に有り得ることなのです。その際、なにかとスムーズなのは賃貸です。
小学校は公立or 私立 問題
保育園の次の小学校入学でも問題が発生することもあります。
賃貸であれば、希望する私立小学校への入学のために、スムーズに学校の近場に引っ越しすることも出来るというメリットもあります。
私立小学校に通うメリットとしては、教育レベルの高さや、教師の質、学校の教育方針等様々考えられます。
その中でも一番大きなメリットは、価値観の同じ家庭が集まっていることです。
子育て共働き世帯で、夫婦がお互い働きながら子育てする上で、子供の親同士の価値観の違いによるトラブルは、出来れば避けたいものです。
もちろん、公立小学校は、多様な友人関係を作れる等のメリットもあり、一概に私立の方が公立よりも良いと言えるものではありません。
しかし、出来れば同じ価値観を持つ家庭同士の中で子供の成長を見守り、且つ不要なトラブルを避けたいと考えて、小学校から私立という選択をするご家庭もたくさんいるでしょう。
その際、家を購入してしまうと、入学できる小学校の範囲は限られてしまいます。
繰り返しになりますが、賃貸であれば、希望する私立小学校の近くに引っ越しすることも、比較的簡単です。
お子さんの小学校の選択を公立か私立かで迷われているのであれば、住まいは賃貸である方が、いざ私立で行きたい学校が決まった際も安心です。
保育園・小学校の消滅問題
日本は人口が減少しており、児童数の減少が著しい地方では、保育園・小学校が合併などでなくなっています。
その際に賃貸であれば、引っ越すことでスムーズに対応可能です。
実際にお住まいが持ち家で、保育園がなくなり、電車で3駅離れた保育園に預け、まったく反対方向の職場にいく親御さんがいます。
3駅程度ならばまだ引っ越しをせず、対応可能かもしれませんが、通勤圏から合併後の保育園や小学校が大きく外れ、遠方まで通わなくてはならない場合はどうでしょうか。
賃貸であれば引っ越しも視野に入れることが出来ますが、持ち家だと中々そうは行きません。
ただでさえ大変な子育てで苦労している共働き世帯にとっては、子供の送り迎えの負担だけでも減らしたいものです。
そういった意味でも、住宅購入=持ち家はリスクがあると考えられます。
塾選び問題
賃貸であれば、塾選びにも柔軟に対応可能です。
子どもが小学生になると、中学受験をするかどうかという選択肢も出てきます。
中学受験を考える家庭では、早い方は小学校1年生から、進学塾に通い始めます。
難関中を目指すなら、遅くても小学4年生の初めには塾に通い始めないと厳しいと言われています。
もし中学受験をするという選択をした場合、塾に子供を通わせることになりますが、
子どもの個性によって、大手進学塾が良いのか、個別指導が良いのか等、塾選びも変わってきます。
そして、子供の個性にあった塾が、自宅から通いやすい沿線にあるとは限りません。
もし塾が自宅から便の悪いところにある場合、子供の塾への送り迎えが必要になりますが、子育て中の共働き世帯の方にとっては、その負担は大きいでしょう。
最悪、引っ越すという選択をする必要もでてきます。
その際も賃貸であれば、持ち家よりも引っ越しがスムーズです。
“②子供の教育環境問題”まとめ
- 定員に空きのある保育園に託児するためへの引っ越しや、子供の私立小学校の近くへの引っ越しを考えると、賃貸は柔軟に対処可能
- 保育園や小学校の統廃合が発生した際も、賃貸ならば柔軟に対処可能
- 子供に合った塾が自宅から遠い場合でも、賃貸ならば、引っ越しという手段を取りやすい
③住居の維持・管理問題
持ち家の場合は、住居の維持管理のことも念頭に置く必要があります。
とくにマンションなどにお住まいの場合、いろんな取り決めがあったり、修繕費の積み立てがあったりと購入費用以外にも費用が発生してきます。
修理・修繕の費用負担・責任がない
家というものは経年により劣化し、傷んだ場所や壊れた設備の修理が必要で、
お金はどうしてもかかってしまいます。
しかし、賃貸ではそれらの費用は貸主が負担することになります。
費用だけではなく、業者に修理を依頼するなどの手間もかかります。
子育て中の共働き世帯は、時間を取られる育児に加えて、こういった住宅の管理のための手間に時間やお金をとられるのは避けるべきでしょう。
物が減ることで家事の負担が減る
賃貸では家事の負担が減るのもメリットのひとつです。
賃貸住宅は、住宅を購入した場合と比べて、手狭になるケースも多々あります。
そして、手狭だからこそ、最小限の物でスペースをやりくりしようという意欲がわきます。
逆に部屋が広い場合、ついつい物を持ちすぎてしまい、部屋が物であふれ、世にいう汚部屋ができあがることも。
子育て中の共働き世帯では、少ない時間を有効に使って効率よく家事をする必要があります。
ですから、出来るだけ物を減らしてシンプルに暮らすことを考えると、必ずしも広い部屋は必要ないのではないでしょうか?
また、シンプルな部屋は掃除もしやすく、家事の負担が減るので、忙しい共働き世帯にあったライフスタイルが実現できます。
“③住居の維持・管理問題”まとめ
- 賃貸ならば自宅の維持修繕の責任がないため、これにお金と時間をつかうことがない
- 賃貸は手狭となりがちだが、その分限られたスペースを有効活用することになり、家事の負担が減る
④社会生活上のリスクへの対処問題
誰もが社会生活を送る上で忘れてはならないのが、転勤、失業、災害などのリスクです。
こういったリスクは自分にとって思いもよらない時期に襲いかかってきますが、賃貸ならば、対処は比較的簡単です。
転勤
サラリーマンならば、宿命というべき転勤。
家を購入した途端、転勤辞令がおりるというのはお決まりのパターンですが、賃貸ならばなんら問題はありません。
しかし、子育て中の共働き世帯が、住宅を購入してしまい、どちらかが転勤になった際は、住宅の処分に困ることになります。
自分たちが転勤で家を離れている間は、家を賃貸に出せば良いという考えもあります。
しかし、人に賃貸に出すと、家は傷みますので、購入したばかりの家を賃貸に出すのは、ためらう方も多いです。
また、一度貸してしまうと、自分たちが戻って来たからと言って、自分たちの都合で出て行って貰う訳にはいきません。
ならば期間限定で、確実に家をあける期間だけ貸すという場合にも、家賃をかなり下げる必要があるというデメリットがあります。
更に持ち家を購入後、転勤辞令が降りた人は多くが単身で赴任するという寂しさが付きまといます。
以下は、住宅購入後転勤になった人が、どうするかについてのアンケートです。
転勤の可能性のある職場に勤める、共働きの方は、住宅購入はこういったリスクがあることを覚えておいて下さい。
病気や不況による失業
病気や不況の影響により、職を失う可能性は誰にでもあります。
共働き世帯の強みは、こういった場合にも、どちらかの収入が確保されていますので、収入がゼロになることが無いはずです。
収入が少なくなる期間が短期間であれば、その間だけ貯蓄を切り崩すなどで切り抜けられるでしょう。
しかし、失業が長期に及ぶと予想されるなら、住宅にかかる費用を下げる必要が出てくるかも知れません。
賃貸であれば、状況に合わせて住み替えを検討することが可能です。
しかし、住宅ローンを組んで住宅を購入していた場合はどうでしょうか?
例え状況の変化で住宅ローンの支払いが困難になっても、毎月決まった額のローンを支払わなくてはなりません。
住宅ローンの支払いが滞れば、住宅は競売にかけられて、折角購入したマイホームを手放さなくてはならなくなります。
それでも住宅ローンが完済出来なければ、自宅を売却した上に借金を背負うことになります。
災害
災害の観点からも、子育て中の共働き世帯が住宅を購入することはおすすめ出来ません。
世界的な温暖化の影響か、地震や集中豪雨の被害など、毎年のように自然災害で被災する方々が多くいます。
また、原発事故に代表される、人災の事故に見舞われる可能性もあります。
そういった被害により、住宅が受けた損害は、住宅の所有者が受けることになります。
災害自身は保険でカバーできるとしても、災害で地域一体の住宅価値が下がったりするリスクは避けられません。
住宅を購入するという事は、これらのリスクを背負うことになりますから、子育て中の共働き世帯にとって、住宅購入はデメリットが大きいと考えられます。
“④社会生活上のリスクへの対処問題”まとめ
- 転勤になった場合でも、賃貸ならば引っ越すだけ
- 失業した場合も、より安い部屋に移り住むなど、経済状態に応じた対処が可能
- 賃貸ならば、災害で自宅が損傷した場合でも、最低限のダメージで済む
まとめ
いかがでしたでしょうか?
皆様の中で、賃貸・持ち家論争は終結したでしょうか?
ここまで、子育て中の共働き世帯にとって、住宅を購入するべきか、賃貸にするべきか、色々な角度からお話しをさせていただきました。
実際には、ご家庭の状況は様々ですから、どちらが良いかは一概には言えません。
お伝えしたように、家を購入することは家周囲の環境を買うことと同義であり、保育園・小学校・塾等、子供が将来通う必要になるであろう場所への通学も視野に入れ、広い視点で考える必要があります。
また、住宅購入は人生には付き物のリスクに備えられないという面もあります。
一方賃貸住宅は、引っ越しや維持管理が楽というメリットがあり、忙しい共働き世帯には向いています。
これらを総合的に考えて、子育て中の共働き世帯にとって、住宅を購入するのが望ましいのか、賃貸するのが望ましいのか、慎重に判断することをおすすめいたします。
また家庭の支出を抑えたい方は、必要な保険についての情報をまとめたこちらの記事をお読みいただけると、ムダな支出を減らすことができます。
>>必要な保険と不要な保険!入るべき保険を生保レディが解説!
記事のまとめ
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- 子育て中の共働き世帯にとっては賃貸が断然オススメ
- 賃貸のメリットは子供や家族のニーズに応じて柔軟に引っ越しができることであり、デメリットが見当たらない
- 持ち家は、一度購入するとその場所から引っ越しが容易ではない関係上、子育て中の共働き世帯が直面する問題への対処がしにくい