- 「どうすればアメリカで就職できるの?」
- 「アメリカで働くためのビザ等を含めた、具体的な手続きや手順を知りたい」
- 「アメリカで現地の企業から内定を貰うにはどうすればいいの?」
アメリカで働いてみたい!
海外ドラマで見るような華やかで最先端の生活は、多くの日本人が一度は夢見ることだと思います。
でも現実には働くための労働ビザが必要で、高い英語力や、アメリカの実力主義など文化の違いもあり、幾つもの高いハードルがアメリカでの就職には立ちはだかるように思えます。
それでも挑みたいという、志のある方へ朗報です。
数年前まで平凡公務員をしていて、怪しい英語力ながら、アメリカの大学院(MBA)を卒業し、サマーインターンを経て、アメリカの現地の有名コンサルティングファームからフルタイム※の内定を勝ち取った筆者が導き出した、アメリカで就職するための攻略法を教えます!
なおMBAへ興味がある方はこちらの記事をご覧下さい。
>>MBAは意味がないって本当?【米国MBAを卒業して、GAFAMに転職した筆者が解説】
- アメリカで働くための就労ビザの種類や必要な手続き
- アメリカの就職活動と日本の就職活動の違い
- 筆者の実体験を元にしたアメリカの現地企業から内定を獲得するための具体的な方法
- アメリカでの求人の探し方やアメリカの就職先人気企業ランキング
アメリカで働くための就労ビザの種類
アメリカ市民でない外国人がアメリカで働くには原則として就労ビザが必要です。
この就労ビザが取れないケースや、就労ビザ取れていたにもかかわらず就労ビザの更新に失敗すると日本に帰ってくるしかありません。
まずはアメリカで働くための前提条件である就労ビザについて知りましょう。
アメリカで就労資格のあるビザ
数多くあるアメリカのビザの内、アメリカで働きたい日本人に関係する就労ビザは以下のビザになります。
(2022年3月10日時点のアメリカ合衆国国務省の日本人向けウェブサイトの情報を元にしています。最新の情報はアメリカ合衆国国務省のHPを参照して下さい。)
H-1B (特殊技能職)ビザ
専門職として働く人のためのビザ。職務が求める特定分野での学士あるいはそれ以上(もしくは同等の学位)の資格が必要。
発行されるビザ総数に対し、H1-B就労ビザへの応募数のほうが多いため、近年は抽選で当選した人のみが得られるビザとなっています。
また就職先の企業がビザをサポートとするスポンサーになってくれないと、このビザは申請できません。つまりビザスポンサーとなってくれる企業でしか働けないということです。
H-2A (季節農業労働者)ビザ
アメリカで米国人労働者が確保できない時に、一時的に農作業に就く目的で渡米する外国籍の人のための就労ビザ。
H-2B (熟練・非熟練労働者)ビザ
一時的または季節的に米国人労働者が不足している職業に就く目的で渡米する人のための就労ビザ。
H-3 (研修生)ビザ
大学院教育やトレーニング以外のあらゆる分野において、雇用主が行う最長2年間の研修を受ける目的で渡米する人のためのビザ。
研修を受ける対価として報酬を得ることができ、また実践的作業も許可されています。ただし、研修は生産的雇用ではなく、研修生の本国では受けることができないものに限ります。
L-1 (企業内転勤者)ビザ
多国籍企業の従業員が、米国内の会社(支店等)に転勤する場合に必要な就労ビザ。L-1 ビザの申請資格を満たすには、管理職または役員であること、もしくは専門知識を有し、米国の会社でこれらのレベルのいずれかの役職に就く必要があります。
加えて、申請者は転勤を命じる多国籍企業において、米国への入国申請前の3年間の内1年間、米国外で継続的に雇用されている必要があります。
L-2 (同行家族)
Lビザの保有者の配偶者および未婚の子ども(21歳未満)のための就労ビザ。最近の法改正により、配偶者は就労許可を求めることができます。子どもは米国内で就労することはできません。
Oビザ
科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツにおける卓越した能力の持ち主、または映画やテレビ番組の製作において卓越した業績を挙げた人ならびに、それらの遂行に必要な補助的な業務を行なう人のための就労ビザ。
O-2(O-1同行者)ビザ
米国では得られない技能や経験を有し、競技や公演に不可欠な役割を担うアスリートやエンターテイメント業界で働く人で、O-1ビザ保有者に同行する人の為の就労ビザ
P (芸術家、芸能人)ビザ
米国で公演・活動するために渡米する特定のアスリート、芸能人、芸術家および不可欠な補助的業務を行なう人のための就労ビザ。
P-2(芸術家または芸能人)
米国内の組織または団体と他の一つまたは複数の外国との間で、芸術家や芸能人を一時的に交換することを目的とした相互交換プログラムに参加する個人またはグループの芸術家または芸能人が米国に入国するための就労ビザ。
P-3(芸術家または芸能人)ビザ
文化的にユニークなプログラムの下で、公演・指導・稽古を行なう個人またはグループの芸術家または芸能人のための就労ビザ。
Qビザ
実務研修、雇用、および訪問者の自国の歴史・文化・伝統の普及を目的とした国際文化交流プログラムに参加する人のための就労ビザ。
R (宗教活動家)ビザ
宗教的礼拝を行うことやその宗派の一員が通常行うその他の職務を果たすことを公認団体によって認められた人、および宗教的職業に従事する人のための就労ビザ。
アメリカの永住権資格(グリーンカード)で働く
グリーンカードとは米国の永住資格のことで、グリーンカードがあれば、アメリカで就労ビザなしに自由に就職や転職ができます。
これさえあれば、「そもそも就労ビザがとれなかったらどうしよう」、「一度取得した就労ビザの更新ができなかったらどうしよう」等の悩みとはおさらばできるので、可能ならばぜひ取得しましょう。
グリーンカードを取得するための資格やグリーンカードへの応募手続き等は、米国移民局(USCIS)のHPを見てみて下さい。
学生ビザ(F1)で働きたい場合
学生ビザ(F1)でアメリカの大学や大学院(MBA等)に在学中だけど、卒業後は絶対アメリカで就職したい!と思われている方も中にはいるでしょう。
そうした方が学生ビザ(F1)でアメリカで働く場合、
- 1.オプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)
- 2.カリキュラー・プラクティカル・トレーニング(CPT)
のいずれかの制度を利用して働くことになります。
オプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)は、学生ビザ(F-1)を利用している留学生が専攻分野と関連のある職種で最長12ヶ月間働くことができる制度です。この制度は初年度を修了したF-1ビザ保有の学生が対象で、OPTは在学中や卒業後に利用できます。
科学・テクノロジー・工学・数学(STEM)の特定分野で学位を取得したF-1ビザ保有の留学生が卒業後にOPTを利用する場合、2016年5月10日より24ヶ月、つまり2年間まで働けます。
続いて、カリキュラー・プラクティカル・トレーニング(CPT)ですが、CPTはF-1ビザ保有の留学生が専攻分野に関連した企業で働くことができる制度です。
ただし、CPTは、学校のカリキュラムに組み込まれており、卒業前に修了しておく必要があります。またCPTで12ヶ月間フルタイムで働いた場合、OPTを利用することはできなくなります。
またCPTは自分と自分を受け入れてくれる企業との間でのやりとりで済みますが、OPTは受け入れ先企業に加えて、米国の移民局とのやり取りも発生します。
また移民局へ提出する書類に不備があると、移民局より労働の許可がおりず、サマーインターンができなくなる可能性があったので、何十回と書類を確認しました。大変だったので思い出したくない。。
"アメリカで働くための就労ビザの種類"まとめ
- アメリカで働くには就労ビザが必要で種類は様々だが、卒業後に学生が利用するのはH1-B就労ビザ
- F1学生ビザでアメリカで働く場合、OPT又はCPTを利用しなければならない
- グリーンカードの申請を視野に入れておく
アメリカで就職したいなら日本人のニーズを考える【アメリカの就活ではBIG4やコンサルを狙う】
日本人がアメリカで働くことを考えた場合、勤め先としては主に以下の3つに分類が可能です。
- 1.パナソニックやトヨタといったグローバルに展開している日系企業の米国支社
- 2.アメリカ国内のみで展開するローカル企業
- 3.アメリカに本社があり、世界中に支社のあるグローバル企業
そしていずれの企業に就職するにせよ、アメリカで就職したいなら、重要になるのが志望先の企業に日本人のニーズがあり、H1-Bを含む就労ビザをサポート(スポンサー)してくれるかです。
そこで日本人のあなたに一番お勧めしたいのは、3つ目の米国系グローバル企業の中でもコンサル業に属する企業です。
アメリカには日本企業の支社が多くあり、日本人の駐在員がいます。そこに対してアドバイスを行うコンサルティングファームは、日本語を話せて日本文化が分かる日本人の従業員のニーズがあるからです。
またその日本人のニーズを満たすため、H1-B就労ビザをサポート(スポンサー)してくれます。
加えて、米国に本社があり、日本にも支社があるようなグローバルコンサルティングファームで働く場合、仮にH1-B就労ビザの1回目の抽選で落ちてアメリカから退去せざる得ない場合でも、
日本支社に一度転勤させ、2回目の抽選で当選した場合は米国に戻すということを会社側が差配してくれるので、安心です。
やはり競争の厳しい現地の米国企業で働いたことのある人の転職市場での評価は高いです。
コンサルティングファームとは?
アメリカで就職するために、コンサル業に属する企業=コンサルティングファームを狙えと言われても、コンサルファームって何してる会社?と思う方もいらっしゃると思います。そういう方のために簡単にコンサルティングファームとはなんぞや?ということをお伝えしていきます。
ざっくり言ってしまえば、コンサルトティングファームとは企業が抱える経営上の課題に対し、相談に乗ることや、助言をすることで報酬を得る企業のことを言います。
経営上の課題とは、企業のトップ・マネジメント向けの、新規事業創出に関わることから、より現場に近いレベル向けの、日々のオペレーションの改善や、受注管理システムの構築等、多岐にわたります。
そういった経営上の課題に対して、レポートやソフトウェアという成果物を納入することで報酬を得ているのがコンサルティングファームです。
コンサルの種類~戦略系コンサルと総合コンサル~
以上がコンサルとは?的なお話でしたが、そのコンサルにも色々種類があるので、それをここでは説明します。
下の図は外資系うさぎのちょこさんの記事「【コンサル業界研究】総論①-戦略コンサル、経営コンサル、ITコンサルって何が違うの?」から拝借した図ですが、
コンサルティングファームがクライアント企業の、どのマネジメントレイヤーに大してサービスを提供するかで、1.戦略系コンサルと2.総合コンサルの2つに分類できることがわかります。
<戦略系コンサル>
図の通り、戦略系コンサルは、トップ・マネジメント層に対し、企業の事業活動において進むべき方向性のアドバイスを行います。
例えば今後10年間のトレンドを見越してクライアントの事業が発展するように経営戦略面を手助けをしたりとかがお仕事内容となります。
戦略コンサルのBIG3として「ボストン コンサルティング グループ」「マッキンゼー・アンド・カンパニー」「ベイン・アンド・カンパニー」等が有名です。
<総合コンサル>
総合コンサルは戦略系コンサルより下のレイヤーのマネジメント向けにアドバイスを提供します。本当に図の通りで、マネジメントレイヤーで言う、ミドルハイからロワーに至るまで、広いレイヤーに対してサービスを提供するため、案件も多岐にわたります。
総合コンサルとしてはアクセンチュアやBIG4(PwC,EY,KPMG,Deloitte)*と呼ばれる監査法人系のコンサルが有名です。
*BIG4とはPwC,EY,KPMG,Deloitteからなる4大監査法人の略称です。監査法人として会計監査を企業に提供するのみならず、総合コンサルティングファームとしても事業展開をしています。
その他にも、IT系コンサル等が存在しますが、ここでは割愛します。より詳細に知りたい方は外資系うさぎのちょこさんの記事を読んでみて下さい。
後述しますが、コンサルは戦略系であれ総合系であれ、汎用性の高いビジネススキルが見について、給与水準が高いことから、アメリカでも就職先として人気です。
その中でも、戦略系コンサルは採用人数自体が少ないために、本当に優秀な人しか入社できず非常に狭き門です。
対して総合コンサルの場合は毎年大量に人を雇うので、戦略系よりも入社しやすいです。
よってアメリカでの就活ではアメリカ現地の総合コンサルから内定を得る戦略がおすすめです。
【筆者の場合】総合コンサル(BIG4)に狙いを定めてアメリカでの就活を行った
先述したように、日系企業の米国支社を顧客に持つアメリカの現地のコンサルには、日本人従業員のニーズがあります。
筆者がアメリカの大学院に進学前で、まだ日本にいた時、このことに気付きました。
筆者はこの日本人のニーズに気づいた後、米国公認会計士(USCPA)資格を取得してから、アメリカの大学院(MBA)へ進学し、無事アメリカ現地のBIG4の内の1社でサマーインターンをした後、フルタイムオファーを得ることが出来ました。もちろんビザスポンサー付きです。
アメリカの総合コンサルの中で、監査を担当するなら米国公認会計士資格、税務サービスなら米国税理士資格、M&AアドバイザリーならCFA資格という風に、
就職に必要な資格が違ってきますので、自分の興味のある分野の資格を是非アメリカの大学在学中に取得することを検討してみて下さい。
成功した人も上記の資格系を持っていた人か、日本の外資系企業でITエンジニアや財務会計関連の職務経験が有り、アメリカの現地企業で同じように働けると実証できる経歴を持っているかのどちらかでした。
後は日本人で米国公認会計士を取得済みでアメリカ現地のBIG4を志望する人は殆どいないので、就活簡単じゃない?という目算がありました。
ここで少しだけ監査法人について触れます。監査法人は、所属する公認会計士が企業の財務諸表をチェックし、内容に誤りや粉飾が無いことを保証する監査業務を提供します。
第三者である監査法人が企業の財務諸表をチェックしてお墨付きを与えることで、その企業が作成した財務諸表が適正と言えるわけです。
筆者が狙いをつけたBIG4は日本ではあまり知られていませんが、海外ではブランド化されていて、アメリカ現地の就職先人気ランキング(後述)では必ず上位に入ります。
"アメリカで就職したいなら日本人のニーズを考える【アメリカの就活ではBIG4やコンサルを狙う】"まとめ
- アメリカ現地のコンサルには日本人のニーズがある
- アメリカ現地のコンサルの中では総合コンサル(BIG4)が就職しやすい
- 総合コンサル(特にBIG4)への就職は資格があると簡単
アメリカの就職活動【日本との違い】
今までお伝えしてきたとおり、日本人がアメリカで就職するため、アメリカでの就活のターゲットをアメリカ現地の総合コンサルにすることをオススメしていることはもうお分かりだと思います。
ここからは、その総合コンサルから内定を得るために、日本とは大きく異なるアメリカの就活について見ていきます。
一般的なアメリカの就活の特徴を述べつつ、筆者がアメリカで実際にどう就活をやっていたかもお伝えしていきます。
アメリカでは日本の就活でいう「新卒枠」はない
最近では変わってきていますが、日本の就活では基本的に大学3年生頃、遅くとも大学4年生には就活をスタートし、卒業と同時に就職するというのがよくあるパターンです。
対してアメリカの大学生は、就活をいつ始めるかは本人によりけりで、日本の就活のような大学3年生からの一斉スタート等は見られません。
またアメリカの労働市場は人材の流動性が高く、転職が当たり前の環境です。
よって企業も日本のように大量の新卒を4月採用で雇い入れるという形式ではなく、採用を通年で行っており、企業への入社時期は学生次第ということになります。
学歴と実績がアメリカの就活では重視される
日本の就活の場合、4月採用が大半を占めており、企業側は研修をして、OJTで人材を育てていくこと前提に採用を行います。
そのため、学生の仕事上の能力よりは、企業の社風へのマッチや人間性に重きを置いた採用活動が行われますが、アメリカの就活では企業が転職で抜けていく労働者の補充のための募集が多いため、即戦力となる人材を求める傾向にあります。
もちろんアメリカの就活でも人間性や社風へのマッチは見られますが、それ以上に出身大学と大学在学中の実績を見られます。
企業によってはIBリーグと呼ばれるアメリカの名門大学からしかそもそも採用を行わなかったりと、日本以上の超学歴社会です。
また就職して一安心とはならないところが、競争社会のアメリカです。米系企業の社内での競争は日本のそれよりはるかに激しく、成果を出さねば簡単にクビになります。
アメリカの学生はそんな社会で勝ち残っていくための力を養うことを見据えて動いています。
自分は何を学びたいのか、どんな職に就きたいのか、自身のキャリアプランを考えたうえで学校や専攻を選び、身につけた専門性を活かした職を目指します。
マーケティングを学んだらマーケターになるというように一貫してます。専門性を磨いて差別化を図っているんですね。
アメリカの学生が選ぶ就職先人気企業ランキング
日本の学生に人気の就職先としては、安定的な公務員や、総合商社をはじめとする認知度が高い大企業の名前が上がると思いますが、アメリカでは独立志向が強いことから大企業志向はあまりなく、就職先にも多様性があります。
それでは起業しない人たちに人気の就職先はというと、まず昔から医者、投資銀行バンカー、弁護士の3者はアメリカにおいては一目置かれる、ステータスの高い職業とされます。
そしてその3者を目指す学生を除いた、いわゆるビジネス系の学部の一般学生に人気の就職先としては、コンサルやGAFAMなどの勢いのある大企業、次いでスタートアップ企業、最後に昔からある大企業といった感じです。
実際にUniversum(アメリカの最大手企業ブランド格付け会社)の2021年度のレポートではアメリカにおける就職先人気企業ランキングTOP10は以下の通りとなっています。
GAFAMがランキング上位を占め、合間に投資銀行が入り込む結果となっています。
ビジネス部門(Business/Commerce)
- Apple
- Tesla
- J.P.Morgan
- The Walt Disney Company
- Amazon
- Nike
- Netflix
- Goldman Sachs
- Spotify
アメリカで就職するにはインターン経験が必要
アメリカでフルタイムの内定を得るためのルートは2つです。最初からフルタイムとして雇ってもらうか、インターンで成果を認められてからフルタイムで雇ってもらうかです。
アメリカの大学生でインターンを大学在学中に経験しない人はほぼ0といってよく、多くの学生が志望企業で数ヶ月のインターンをし、その働きぶりを認められてフルタイムで雇用されるというのが、アメリカにおける学生の就職までの一般的な流れです。
よって日本人のあなたも、アメリカの大学や大学院に入学後、在学中に志望する企業でインターンをし、フルタイムオファー(内定)を得ましょう。
アメリカにおけるインターンとは
インターンとは、学生が夏や冬の長期休暇を利用して企業で働くことです。
企業側は学生に仕事をやらせてみて能力を測ることができ、試用期間で実力を認めた学生にフルタイムの内定を出します。原則月曜~金曜まで社員と同じスケジュール・業務内容で働き、社員×0.7~0.8程の給与が出ます。
特に夏のサマーインターンは長い夏休みを利用できてフルタイムの内定に直結することから、ほとんどの学生が参加します。
サマーインターンのメリットはインターン先の企業からフルタイムオファーが貰えるということに留まりません。
1社でもフルタイムの内定を貰っていればそれがお墨付きとなり、その他の企業からの内定も貰いやすくなります。
これは企業側も他社が内定を出しているならば、優秀であるはずとの評価を下すからです。
アメリカでのサマーインターンの見つけ方と選考過程
アメリカでは、新たに人を採用したいと考えている企業であれば、ほぼサマーインターンを導入しています。
サマーインターンの求人情報は、企業のホームページ、「キャリアフォーラム」と呼ばれる日本人留学生向け就活サイト(BIG4が米国の各地で開かれるキャリアフォーラムに出展)、アメリカ版リクナビのような「indeed」や「Firsthand」といったWebサイトに多数あります。
それ以外にも「行きたい企業名+summer intern」でグーグル検索すると情報を入手できます。また、直接学校に情報が入ることもあります。
忘れてはいけないのが、インターン先がビザサポートを行ってくれる企業かどうかの確認です。ビザがない場合はサマーインターンのみ受け入れることはしても、その後、フルタイムの内定対象にはしないという企業もあります。
サマーインターンの一般的な流れは以下の通りです。
企業によっては前年の秋から募集がかかるので、10月に翌年のサマーインターンの内定を貰っている、なんて人もたまにいます。
筆者が体験した米国BIG4のサマーインターンの選考過程
多くの周りのMBAの同期がサマーインターンに10~20社ほど応募する中で、筆者はBIG4の内2社から早々に内定を貰えたため、結果的に応募したのは5~6社と少ない方でした。
それでは、筆者がサマーインターンの内定を獲得したBIG4の内の2社の選考過程を詳しくご紹介しましょう。
日本であれば採用は人事部が担当するため、このように2度面接する羽目にはならないのですが、アメリカではロサンゼルスならロサンゼルスのオフィスで、NYならNYのオフィスでパートナーとマネージャーに採用権限があるため、一から面接のやり直しとなりました。
ちなみにサマーインターンの内定が決まると以下のような内定通知書が郵送され、それにサインすることになります。
筆者が米国BIG4からサマーインターン内定を勝ち取れた理由と大変だったこと
お伝えしてきたD社とP社の面接内容からもわかるように、両社ともサマーインターンで求めるのは、会計の専門知識が有り、英語でコミュニケーションできる人材です。
筆者は渡米前に米国公認会計士(USCPA)を取得済みで、会計知識があることを証明でき、またそれを活かせられる職種に応募したという確かな志望理由があること、さらに英語での面接にきっちりと対応できたことから内定を貰えました。
また、サマーインターンに向けた準備で大変だったのは、忙しい学業の中で、志望理由書(カバーレター)等の書類用意し、面接を受ける現地までの移動を手配しなければならなかったことです。
キャリアフォーラムの開催地や筆者が受けた企業の本社は大都市が中心で、毎回学校のあるアリゾナから大都市まで飛行機での移動は煩雑でした。
他にも志望する企業の財務諸表の数値を調べたりと、苦労は色々ありましたが、特に手間がかかったのは前述のビザ関連の書類です。
【筆者体験談】サマーインターン先を決めるまでの葛藤
お伝えしたよう、筆者はBIG4の内、D社とP社、計2社からサマーインターンの内定を貰い、悩みに悩んだ末にP社で働くことを決めました。日本ではD社の方が知名度はあるのですが、アメリカでは規模も売上もP社が頭一つ抜けており、業界1位だったからです。
また面接で会った日本人のマネージャーや、MBAの卒業生でD社に勤めているからと話を聞いた人を裏切ることになる。。
では次に、筆者のサマーインターンの体験談をお話します。
筆者が体験した米国BIG4のサマーインターンの実際
筆者は監査のインターンとして採用されたので、インターンとしての仕事はもっぱら監査法人が行う監査*に関する仕事です。
*監査や監査法人が何かは「【筆者の場合】総合コンサル(BIG4)に狙いを定めてアメリカでの就活を行った」でお伝えしております。
監査業務は基本的に全て英語(日本人マネージャーとのやり取り時等除く)で、入社1~2年目がやるようなことが主ですが、難易度の高いプロジェクトにアサインされることもあります。
具体的な監査の業務内容をお伝えしますと、監査調書システムに財務諸表の内容を入力したり、取引内容・期間の計上に食い違いが無いか確認したり、企業まで直接出向き(往査)、企業の倉庫で商品の棚卸しを行うなどを経験しました。
インターン先のP社のクライアントは幅広く、筆者が担当した複数のクライアントの会社規模もまちまちでした。
筆者は日本企業の米国支社クライアントを中心に扱うチームに所属したため、業務の8割が日本人のマネージャーから、残りの2割は外国人のマネージャーから指示されました。就業時間は9時~17時で、残業は基本的にありませんでした。
サマーインターンでフルタイムオファー(内定)をもらうために
サマーインターンをやる最大の目標はフルタイムオファーを得ることです。そして悲しいことにフルタイムオファーはインターン全てに与えられるわけでは有りません。
ではフルタイムオファーを確実に得るために、インターンは何をすべきでしょうか?
まずフルタイムオファーに向けて、インターンとして意識すべきことは、出社した瞬間から退社するまでの動きはすべて評価の対象に入っているということです。
そして、任された仕事は完璧にやる、疑問点があれば積極的に質問する、手が空いたときは他に仕事がないか聞くなど、とにかく意欲的な姿勢で取り組むことが大切です。
多くのアメリカの大企業は、サマーインターン中は上司と面談があり何度かフィードバックを貰う機会があります。
フィードバックは360度評価という上司や同僚等、自分と仕事上で関係する複数の人からの評価が元になっており、上司が自分の仕事ぶりをフィードバックしてくれるのです。
ここで、問題を指摘されなければ一安心ですが、問題を指摘された際は絶対に改善しましょう。
業界にもよりますが、多くの企業はサマーインターンの少なくとも5割にはフルタイムの内定を出す印象で、筆者が居たP社であれば7~8割が採用となります。落第となるのは仕事をサボったり、マネージャーに対して反発したりという少数の人たちでした。
フルタイムオファーの内定が出ると、以下のような書類が郵送され、それにサインし返送することになります。
アメリカのBIG4サマーインターンの同僚や職場環境
サマーインターンの同期はNYオフィス全体(監査や税部門、アドバイザリー(コンサル)等を含む)で約200人程度で、9割が白人で日本人は私を含めわずか2人だけでした。
オフィスの席はフリーアドレス制で、空いているパーティションで仕切られた席に自由に座れます。
またパーティションで区切られた席以外にも、オフィスにはカウチやソファーが置かれたスペースも有り、自分の気分に応じて好きな場所で仕事ができます。
下のビデオはPwCのニューヨークオフィスが紹介されているビデオですが、まさにこんな感じの職場です。
インターン中仕事以外では、会社によりボーリング大会や会社内でのカクテルパーティといったインターンのための交流会が催されたり、チームでディナーに行ったりと業務外でのイベントが多々あります。
アメリカではコネ社会であり、後々の仕事の進めやすさを考えて、こういった社内イベントにも積極的に参加してコネクションを築くことが大切です。
アメリカBIG4サマーインターンの給料や筆者オススメのインターン中の住居の探し方
家賃や食費高すぎ?という疑問もあるかもしれませんが、NYは物価が日本の2倍するので、月収100万円(年収1000万円以上)無いとまともな生活はできない街だと言われています。
サマーインターン中の住居は以下の不動産物件掲載サイトで筆者は探しました。1位から3位までオススメ順にご紹介しています。
サマーインターン中の住居を探すサイト
アメリカではポジション別で採用される
日本では事務職で採用される場合、総合職や一般職という職種で、企業の中で様々な部署を移動することを前提に採用が行われますが、米国では特定の部署の特定のポジション別に採用が行われます。
一例ですが、アメリカの最大手求人情報サイトGrassdoorのデータサイエンティストの求人を筆者が要約したものを見てみましょう。
募集業種:Senior Data Scientist
所属:APACデータ分析チーム
応募資格:SQL,R,Pythonを用いたデータ分析の経験3年以上、十分な英語でのコミュニケーションレベル、統計学・数学・コンピューターサイエンスの修士号/博士号を有する方
上のように、アメリカの企業が求人をする際は、募集する職種(役職)と所属部署が特定されており、必要な経験が明確なのが特徴です。
これはデータサイエンティスト系の理系の職種に限らず、どのような職種であれ、アメリカの企業の求人では、どの部署に所属し、どのような業務をこなすことが期待されているのかが細かく記載されている傾向にあります。
また、アメリカの企業では日系企業と異なり、採用権限は人事部にはなく、求人をかけている部署にあるのも特徴です。
実際に筆者のサマーインターンの面接官も筆者が所属する部署のマネージャー(直属の上司)とマネージャーの上司のパートナーだったのを思い出して頂ければと思います。
アメリカでの求人情報の探し方
ここでは、アメリカで仕事を探す方法をお伝えしていきます。
アメリカでの求人の探し方は大きく分けて6つです。順に見ていきましょう。
①アメリカの転職・就職サイトを使う
筆者も利用した、アメリカで最も使われている転職サイトを5つ紹介します。
1.Indeedですが、世界最大級の転職サイトであり、インターンシップ、フルタイム、パートタイムを問わず、あらゆる仕事が掲載されています。自分の志望企業のレビューや志望職種の給料についてもみれるので、おすすめです。
2.Glassdoorはアメリカ人ならば誰でも一度は使ったことのある、大手転職サイトです。筆者も利用経験があり、自分の志望する企業の職種の給料がアメリカの都市別に掲載されていたので、非常に重宝します。求人も豊富で、筆者はフルタイムの仕事にこちらのサイトより応募しました。
3.Monsterは、IndeedとGlassdoor同様、アメリカの有名大手転職サイトです。
4.Linkedinは転職サイトというよりは、正確にはビジネスマン向けのSNSで、自分の顔、実名、職歴を公開し、会員同士の交流が可能なプラットフォームです。日本を含めアメリカでは転職でも非常によく使用されており、求人掲載も豊富でやヘッドハンティングも頻繁に行われています。
筆者も登録済みであり、毎週のように転職しませんか?というDMが転職エージェントより送られてきます。
Linkedinの詳細な使い方はこちらの記事でも紹介しています。
>>【簡単】LinkedInの使い方と効果的な活用法!【フォロワー1万人超えの筆者が解説】
5.CFNは以前にもお伝えしましたが、アメリカの日本人留学生向けの就職サイトです。アメリカの各大都市でキャリアフォーラムを開催しており、BIG4等、アメリカの会社も出展していますので、利用をおすすめします。会場に足を運ぶ苦労はありますが、面接をその場で受けられるので就活が捗ります。
もっとアメリカの転職・就職サイトについて知りたい方は、U.SNewsの記事が参考になります。
②志望する米国企業のホームページから探す
もう働きたいアメリカの企業が決まっている場合は企業の採用ページより、空席の出ているJob postionに応募するというやり方もあります。
一例ですが、下のP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)の公式サイトでは、採用を希望する国と志望職種に関するキーワードを入れるだけで、募集している仕事が一覧で見れます。https://www.pgcareers.com/
「企業名+job openings」でグーグル検索すると、企業の公式HPでの仕事募集のみならず、転職サイトでの募集もヒットしますので、就活がはかどります。
③転職エージェントを使う
Forbesによれば、アメリカで2021年度中、給料が$100,000以下のポジションでの転職で最も評価された転職エージェントTop3は以下のとおりです。
アメリカの転職エージェントトップ3
1位のRobert Halfは筆者も利用済みですが、筆者の経歴に合う仕事を転職エージェントが多数提案してくれ、また決して無理に転職させようとしなかったので、非常に好印象でした。
続いて、日本語でやり取りできる転職エージェントも知りたい方向けに、アメリカの求人も取り扱っている転職エージェントを2社ご紹介します。
1.ロバート・ウォルターズ
ロバート・ウォルターズはロンドン発の世界有数の転職エージェントであり、外資系企業の人事がまず声をかけるほど、企業とのパイプを持っています。
在籍エージェントは全員外国籍、またはバイリンガルで、エージェントとの面談が英語だったりするため、なれていない人には大変です。
だからこそ企業側もエージェントを信頼しており、かなり質のいい求人が集まり、利用者に紹介してくれます!
敷居が高いため、転職ができる見込みがない人にはサポートが手厚くありませんが、自己投資やしっかり準備して転職できる可能性が高い人にはかなり手厚いサポートをしてくれます。
英語力を生かし、転職成功後の出世も見据えて、本気で取り組むのならこちらの転職エージェントをぜひ活用しましょう!
ロバート・ウォルターズが気になる方はこちらへ:https://www.robertwalters.co.jp/
2.JACリクルートメント
JACリクルートメントは、インターナショナル領域で活躍する管理職・エグゼクティブ・スペシャリスト人材に特化しています。
外資系企業の求人数も多く、サポートが手厚いので、ぜひお付き合いすべき転職エージェントです。
ロバート・ウォルターズよりも求人の量自体は多い印象です。
JACリクルートメントが気になる方はこちらへ:http://www.jac-recruitment.jp/
④大学に来ている求人を見る
意外と見落としがちなのが、大学に来ている求人です。大学に企業から求人が来ている場合、企業はその大学の卒業生のレベルの高さや地域での評判を信頼しているということですから、学校経由での応募は採用上有利に働きます。
学校の求人情報はタイミングによっても異なってくるので、学校のキャリアセンター等には1ヵ月に1回は足を運びたいところです。また求人の掲載のみならず、英文レジュメの添削もキャリアセンターの職員が行ってくれることがあるので、チェックしたいポイントです。
⑤メールを企業担当者宛に履歴書を添付して送ってみる
多くの人は成功率が低いのでやりたがりませんが、どうしても行きたい企業があるものの、既に希望職種の募集が締め切られていることや、転職サイトにも求人の掲載がないというケースも中にはあります。
そうした場合、企業の担当者宛に、自分の履歴書を添えて、簡単な自己紹介や職歴をアピールしつつ、採用ポジションに空きは無いか聞いてみるのも手です。運が良ければ、担当者が希望する職種の部署につないでくれることもあります。
⑥卒業生とつながる
前述の大学のキャリアセンターには卒業生の連絡先と就職先企業を管理するデータベースがあることが非常に多いです。
大学によりまちまちかもしれませんが、そういった卒業生のネットワークが利用できる場合、志望先の企業で働いている卒業生に連絡を取り、リクルーターにつないでもらうのもありです。
アメリカの就活で必須の英語の履歴書(レジュメ)
アメリカでの就職活動は当然英語の履歴書を使います。
英語の履歴書(レジュメ)の作成法もルールがあり、我流のやり方はおすすめできません。理想の履歴書は採用担当者が目を通し、すぐに候補者の人となりや保有している経歴・スキルがわかるようなものです。
詳細な英文履歴書(レジュメ)の書き方はこちらで解説していますので、参考にしてみて下さい。
>>英語履歴書の極意とは?シリコンバレーで仕事を勝ち取った英語履歴書の作成講座
アメリカの企業で働くのに必要な英語力
職種や企業によっても、アメリカで働く際に要求される英語力は異なります。
例えば単純な清掃作業よりは飲食店の店員の方が要求される英語力は高くなりますし、総合コンサルであれば、クライントに対し英語でプレゼンテーションできる程度の英語力は必要です。
ただアメリカの総合コンサルで働く場合でもネイティブと同水準の英語力までは要求されません。多少つまってもよいので、英語のプレゼンテーションにおいて、自分のメッセージがを相手に伝えられる英語力であれば十分に働くことができると筆者は考えます。
アメリカの企業で必要な英語力をより詳細に知りたい方は下の記事を読んでみて下さい。
>>外資系・グローバル企業で働くのに必要な英語力はどれくらい?
アメリカの就職面接
アメリカでも仕事への応募から、面接までの流れは日本と同様です。
書類選考を通過した場合、企業から面接をする旨の連絡があり、複数回の面接を経て、内定に至ります。
複数回の面接では採用権限のある、自分の所属するマネージャーはもちろんのこと、チームで同僚となる人達と面接をすることになります。
下の記事でも解説していますが、基本的に面接ではこの人には募集要項に記載のあるRequirementが本当にあるのか?という面接官の疑問をはらさないといけません。
記事では筆者の受けた外資系投資銀行を例に、外資系企業の面接突破のコツを解説していますので、是非参考にしてみて下さい。
基本的に面接で聞かれることは以下の5つに集約されますので、事前に答えを準備しておきましょう。
アメリカの企業の面接で聞かれること5つ
- 自己紹介
- ポジションへの志望動機
- 過去の経歴と今までの経歴での実績
- その会社の社風にフィットするかを見るためのBehavior Based Question
- そのポジションや会社への質問
最近ではオンラインでのZoom面接も珍しくないので、Zoom面接のコツがよくまとまっているビデオをご紹介しておきます。
非常に基本的な内容ですが、案外出来ていない人が多く、Zoom面接で差をつけたい方は必見です。
筆者の体験談【アメリカ就職までの過程】
筆者の場合、アメリカの州立大学の大学院における2年間のMBA過程の在学中にBIG4でサマーインターンをした後、ビザスポンサー付きで、フルタームオファーが出たのでそこに就職する予定でした。
しかし人の欲とは限りがないもので、筆者はBIG4のフルタイムオファーを手元に置きつつ、BIG4より高い給与が望める複数のアメリカの投資銀行のポジションにLinkedin経由で応募しました。
その中の1社とご縁が有り、筆者はそちらで働く運びとなりました。
このMBAから投資銀行に入社するまでの過程に興味がある方は、下の記事も読んでみて下さい。
>>【外資系投資銀行に未経験で転職するには?】公務員から未経験で外銀への転職に成功した筆者が解説
アメリカで派遣社員・契約社員として働く
アメリカでも日本同様、正社員とは別に、契約社員や、派遣社員といった雇用形態が存在します。ただ基本的には、ビザサポートは契約社員や派遣社員にはないので、今からお伝えする内容は、既にアメリカで働くビザをお持ちの方向けになります。
アメリカの契約社員や派遣社員は継続雇用の保証が無い代わりに、仕事につくハードルが低いため、職歴を作るには良いかもしれません。
またアメリカは日本以上に労働市場の流動性が高く、皆頻繁に転職するので、派遣・契約社員から正社員になるのは日本よりも簡単です。
加えて、日本では契約社員・派遣社員=負け組という風潮がありますが、アメリカではそのような風潮はなく、キャリアの第一歩として派遣・契約社員を選択する人もいます。
アメリカでの契約社員の仕事の探し方
アメリカの企業で働く契約社員の仕事を見つけるための手順は上の章(>>求人情報の探し方)でお伝えした正社員の仕事を探す方法と同様になります。
転職サイトでは正社員と契約社員の区別なく、求人が探せます。
改めて、上の章でご紹介した、筆者も利用した、アメリカで最も使われている転職サイトを5つ紹介します。
アメリカでの派遣社員の仕事の探し方
アメリカで派遣社員として働くには、アメリカの派遣会社へ登録しなければなりません。基本的に日本と同様に、派遣会社のサイトで会員登録後、派遣会社内のウェブサイトで募集している仕事に応募し、派遣会社の職員と面接後、合格すれば派遣先で仕事を始めるという流れです。
無数にあるアメリカにある派遣会社の内、どの会社の評判がいいか分からないという方向けに、Forbesがstatistaと協力して調査した2021年度におけるアメリカでもっとも評判の良い派遣会社Top3をご紹介します。
アメリカの派遣会社トップ3
アメリカでの就活の気持ちの持ち方【失敗して当たり前】
ここまで読んで頂いた方の中には、アメリカは日本以上の競争社会で、就活も大変、自分にはアメリカで就職するなんて絶対ムリと思っている方もいるかも知れません。
ですが、お伝えしてきたように、アメリカの企業の中でも日本人を必要としている企業を中心に就活をすれば決して不可能では有りません。
またアメリカの企業に数十社応募したけど全部落ちるなんてこともあるかもしれませんが、それは皆が経験していることですし、競争の激しいアメリカでの就活ではそういった失敗は日常茶飯事です。
失敗して当たり前、失敗することで次に生かせる経験を得たぐらいの気持ちでアメリカの就活に望みましょう。
"アメリカの就職活動【日本との違い】"まとめ
- アメリカの就活は、就活サイトや学校に来ている求人、個人的なコネ等をフルに活用して望む
- アメリカの求人はポジション別であり、アメリカの就活では日本以上に学歴や実績をみられる
- アメリカの多くの学生はインターンをしており、インターンから就職するのが鉄板
アメリカでの仕事の給料、家賃、生活費
アメリカの就活のやり方は大体わかったけど、自分がアメリカで就きたい仕事の給料や、自分が住むエリアの家賃、州ごとの生活費や物価を知りたいという方は多いと思います。
筆者も自分の想定される給料や家賃、生活費をニューヨークでインターンをするに当たり調べ尽くしたので、皆様に筆者が行ったやり方をお伝えしていきます。
アメリカでの自分の仕事・職種の給料の調べ方
アメリカで自分の志望する職種や仕事の給料を知りたい場合、一番簡単なのはGlassdoorを使うことです。
会員登録と職歴の登録が必要ですが、これ以上にデータが豊富で使いやすいサイトはアメリカでなかなかないと思うので、登録の価値はあります。
Glassdoorの使い方はシンプルで下の画像の左側のボックスに希望する職種のキーワードを入力し、右側のボックスに働く州を入力するだけです。
試しに筆者が左のボックスに「data scientist」、右のボックスに「NY」と入力し、検索してみた結果が以下のとおりです。
関連する求人のサジェストとともにNYにおける「Data Scientist」の給料の下限が$80K、上限が$161K、平均値が$115,117となっているのがお分かり頂けると思います。
アメリカの就職活動では、自分で年収を交渉する場面が必ず有り、相場を知っておくことでその交渉もしやすくなるので、給料の情報を集めておくのをおすすめします。
アメリカでの家賃の調べ方
アメリカの家賃は同じ州の中でもピンからキリまであり、治安がよく、高いレベルで公共設備や学校が整備されてる地区ほど家賃が高い傾向にあります。
筆者は、大まかな自分の住みたい州の地区の1ヶ月の家賃相場の傾向を知るためにAirbnbを使用しました。
試しに筆者がAirbnbで、場所をアメリカのNY、期間を2022年3月8日から4月8日までと指定して、調べた結果が次のとおりです。
地区によって家賃が約13万円から約70万円と幅があることがお分かり頂けると思います。AirbnbはGooglemapにカーソルを合わせることで、ピンポイントで地区の家賃相場が知れるので、非常に使いやすく、アメリカの家賃相場を調べるのにおすすめのツールです。
アメリカの自分が住む州・エリアの生活費の調べ方
アメリカの生活費を調べるのに最適なのは、CNN Cost of Living Calculatorです。
今自分がいる住んでいる州の地区での$50,000の生活が、移住先の州の地区でいくら稼いだら維持できるかという形で、全米の物価が調べられます。
下の結果は仮に現在住んでいるNYのブルックリンから、ルイジアナ州のニューオーリンズに移住した場合、NYの$50,000の生活水準がニューオーリンズでは$30,418で達成可能ということを意味します。雑貨費、家賃、光熱費、移動費、医療費等の小項目で比較もされています。
CNN Cost of Living Calculatorは無料で利用でき、面倒な登録も不要ですので、使ってみて下さい。
"アメリカでの仕事の給料、家賃、生活費"まとめ
- アメリカでの自分の希望する仕事・職種の給料はGrassdoorを使って調べることが可能で、年俸交渉にも役立つ
- アメリカの家賃は住む州や地区によってもまちまちだが、大まかな傾向はAirbnbで調べられる
- アメリカの州ごとの生活費はCNN Cost of Living Calculatorを使って調べられる
アメリカでの外国人の同僚や女性との働き方
アメリカは日本以上に女性の社会進出が進んでおり、多民族の国であるため、多数の女性や様々な国籍の外国人と職場では一緒になります。
そのため、女性が自分の上司になるケースは日本以上に多く、同僚がインド人、中国人、アメリカ人の混合というのもよくある話です。
そのようなバックグラウンドの異なる様々な人達と働く以上、相手の国の文化や相手の性に十分配慮しながら、職場では発言しなければなりません。
会社の就業規則や国・州の法律も、特定の人種への差別や、セクシャル・ハラスメントに対し厳しい姿勢をとっています。
アメリカの会社でこれを守らず、差別的な発言や、セクシャルハラスメントをした場合、降格や解雇される可能性があります。
"アメリカでの外国人の同僚や女性との働き方"まとめ
- アメリカの会社は日本の会社以上にセクハラ・パワハラ・差別的発言等に対し、厳しい姿勢をとっている
- それらを守れない場合、最悪はクビなる
- 業務で使うチャット等のコミュニケーションツールもチェックが入っているので注意が必要
アメリカでマイノリティとして働くこということ
最後になりますが、アメリカで日本人というマイノリティーで働くことの意味をお伝えしたいと思います。
皆さんもお気づきかと思いますが、アメリカの大企業の役員は殆どが白人です。白人でなくとも一定の役職までは昇進しますが、それ以上は昇進できない目に見えない壁があります。
Wall Street Journal はこのような壁を「コンクリートの天井」とよんでいます。
筆者の働いていたBIG4でもパートナーつまり役員はほとんどが白人ですし、アメリカの名だたる大企業であるFortune500でもそれは同じです。
非白人がアメリカの企業で役員を目指すとなると、白人の数倍もの努力をしなければならないというのはよく聞く話です。
ただそのことを差し置いても、アメリカは素晴らしい国ですし、人生は働いて出世することが全てではありません。
アメリカの企業で役員になりたい方だけはこの事を頭の片隅にもとどめておいておくと良いかもしれません。
"アメリカでマイノリティとして働くこということ"まとめ
- アメリカの会社での出世は有色人種の場合、一定以上の役職になると壁にぶちあたる
“アメリカでの就職方法 | アメリカの大学院卒で、実際にアメリカで就職した筆者が解説 ” まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事ではアメリカで日本人が就職する成功率をあげるため、どのような戦略をとるべきかをお伝えしてきました。
繰り返しになりますが、アメリカの企業は日本人を雇うメリットが無ければ雇いません。
もちろん、「これをやりたい!」という夢があるのなら突き詰めるのもいいでしょう。でも雇ってもらうには需要を意識することが大切です。
日本人の需要があるアメリカの企業を見出して、そこに就職するための道筋はどれが最適か、自分をどう売り込めばいいのかを考えることが重要です。
筆者の場合は公認会計士の資格を取り、就職に近道となるインターンを受けるためにMBAへ行くというプロセスを歩みました。
インターンもMBAも手段であり、準備は渡米前から開始しています。アメリカでの就職は準備が9割を占めると言っても過言では有りません。渡米前から戦略的にスタートを切り、ビザスポンサー付きでアメリカでの就職を勝ち取りましょう!
なお、シリコンバレーでのエンジニア就職を目指すための方の記事もありますので、参考にしてみて下さい。
>>シリコンバレーでの就職方法 | 現役GAFAエンジニアが解説
記事のまとめ
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- アメリカの企業からビザサポート付きのフルタイムオファー(内定)を貰うには渡米前からの準備が勝敗を分ける
- アメリカで働くには日本人ニーズがあるコンサル業界を狙う
- 就職するにはサマーインターンを経るのが近道